ランニングでの足の裏の痛みー足底腱膜炎の治療法ー
いつもご覧いただきありがとうございます。
金沢市のBivi接骨院の備前です。
今回は、ランニング中あるいはランニング後に出現する足の裏の痛み
「足底腱膜炎」についてお話させていただきます。
足底腱膜炎はランニングのみならずスポーツ全般で発生しやすい障害の一つです。
40歳から50歳以上の方に多く見られます。
ランニング中やランニング後に足の裏に痛みを感じる方には、本記事がお役に立てると思いますので、最後までご覧ください。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)とは?
足底腱膜炎とは足底腱膜と呼ばれる踵から指の付け根の部分までに伸びている膜が炎症を起こし、痛みが出現する障害です。
足底腱膜は足のアーチ(土踏まず)を支えており、足を地面に接地する際に衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしたり、反対に吸収した衝撃を蹴り出す際のパワーに変える働きを持っています。
繰り返される足底への刺激が積み重なり、炎症を引き起こすため、シンスプリントや腸脛靭帯炎などと同様でランナーに多く見られるスポーツ障害の一つです。
詳しく足底腱膜炎について見ていきましょう。
足底腱膜炎の原因は?
足底部に強い衝撃が加わるスポーツをしている
ランニングやジャンプ動作などで、地面に足を接地する際にかかる衝撃と蹴り出す際の強く引っ張られる力の繰り返しにより足底腱膜に集中したストレスが加わることにより痛みを引き起こす原因となります。
足部の形態異常
偏平足(土踏まずがない状態)や外反母趾など、足部のアーチ構造が崩れることにより足底腱膜へのストレスが大きくなります。
またアーチが高いハイアーチと呼ばれる状態でも足底部の柔軟性が不足してしまい、足底腱膜炎の原因となることがあります。
下腿後面(ふくらはぎ)の筋肉やアキレス腱が固い
下腿後面の筋肉やアキレス腱の固さがあると、踵を上に引き上げる力が弱くなってしまうため、地面を踏み返す際に足底腱膜へのストレスが高まります。
不適切なシューズや履物を使用している
クッション性が低いシューズや長く使用していて靴底がすり減ってしまっている状態のシューズは、踵や足底部にダイレクトに衝撃が加わってしまうため、足底腱膜への負担も高まります。
足底腱膜炎の症状は?
足底腱膜炎の主な症状は歩行時の足底部から踵の痛みです。
また、足の裏を押すと痛みを認めたり、痛みはなくても突っ張っているような違和感がある場合もあります。
朝起きてから動き出す際や、休んでいる状態から急に動き出す際に痛みが出ることが多くあります。
初期の段階ではしばらくすると痛みは軽減してきますが、徐々に進行すると立っている状態や安静にしている際にも痛みを認めるようになります。
最終的には踵に骨棘(こつきょく)と呼ばれる突起ができてしまうことで、さらに痛みが増強する場合があります。
足底腱膜炎の診断・検査は?
足底腱膜炎の診断は基本的に臨床所見が中心となります。
痛みの部位や程度などを確認し、診断を行います。
前述したように骨棘があるか確認するためにはレントゲン検査が有用となります。
超音波検査では足底腱膜の肥厚や炎症がないかを確認することができます。
また、非常に稀な状態ではありますが、痛みが強い場合はMRI検査で足底腱膜の断裂等がないか確認することもあります。
足底腱膜炎の治療は?
足底腱膜炎の治療はシンスプリント・腸脛靭帯炎等のスポーツ障害と同じで、基本的に痛みが出ている場合は運動を中止し、安静が必要となります。
炎症を抑えることが最優先となるため、場合によっては消炎鎮痛剤(痛み止めの内服や湿布)を使用したり、やステロイドの注射を行うこともあります。
また、痛みの状態をみながらストレッチや運動療法などを併せて行っていき、必要に応じてテーピングやインソールを使用しながら治療を行っていきます。
注意すべき点として、注射を行う場合、一時的に痛みは軽減しますが、根本的な原因への対処とはならないため、あくまで一時的なものと考えることが良いでしょう。
繰り返し注射をすることで逆に症状が悪化する場合もあるため、痛みが引いているときにいかにリハビリを行うかが重要と言えます。
足底腱膜炎のリハビリテーションは?
足底腱膜炎のリハビリは足底腱膜にかかる負担を軽減することが中心となります。
スポーツ障害は痛みの消失だけでなく、運動への復帰が最終的なゴールとなるため、根本的な原因の除去を目指して、再度繰り返さないこともリハビリの重要な役割となります。
足底腱膜の炎症軽減
上記の治療に加え、超音波療法や低周波療法等の物理療法を行い、炎症軽減の促進を図ります。
足底腱膜、下腿周囲の柔軟性・筋力の向上
足底腱膜、下腿周囲の筋肉の柔軟性を向上させるため、筋肉が短縮している部位に対してストレッチを行います。
また、足部のアーチ構造が低下することで、足底腱膜へのストレスが大きくなるため、アーチを保持するための筋肉のトレーニングを行うことも重要です。
足部のアライメント・ランニング動作の修正
足部の形態異常に対しては、適切な評価をした上でテーピングやインソールを用いてアーチ構造の安定化を図り、足部機能が十分に働くような環境を作ります。
その上でランニング動作を中心に、動きの修正を図ることで再発への予防を含めた介入を行っていきます。
最後に足底腱膜炎に対するご自宅でもできる簡単なストレッチやトレーニングをいくつか紹介します。
足底腱膜のアクティブリリース
足底部にボールなどを入れて、ゴロゴロと足の裏を刺激します。
痛みが強く出る場合もあるため、ご自分で体重の負荷を調節しながら行いましょう。
下腿(ふくらはぎ)のストレッチ
足を伸ばした状態で座り、爪先にバスタオル等を引っかけ、足首を反らすように引っ張ります。
なるべく膝が曲がらないようにして、下腿がしっかりと張る感覚があるか確かめながら行いましょう。
タオルギャザー
足部周囲の筋肉を鍛えたり、足趾の動きをよくするトレーニングです。
広げたタオルに足を乗せて指でたぐり寄せるように動かします。
簡単にできてしまう場合は本やペットボトルなどの重りを乗せて行うことで、負荷をかけることができます。
カーフレイズ(爪先立ち)
ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。カーフレイズは膝を伸ばして行うことが多いですが、膝を少し曲げて行うことでヒラメ筋への負荷を高めることができます。
膝を曲げた状態でゆっくり踵を上げていきます。親指の付け根の部分にしっかりと体重がかかるように意識をして行いましょう。
注意すべき点として、踵を高く上げすぎると足底腱膜に強くストレスがかかりすぎる場合もあるため、最初は軽く踵を上げる程度から始め、痛みの程度などを確認しながら行いましょう。